画像上で距離計測が出来るのは普通の事であるが、実は規格的には色々と深い内容となっていて、距離計測をDICOM規格通りに実装すると計測出来ない画像が多い。
距離計測をする為の主な情報は下記である。
(0028,0030)Pixel Spacing
(0018,1164)Imager Pixel Spacing
(0018,1114)Estimated Radiographic Magnification
(0028,0030)Pixel SpacingはCT、MR等のIODタグでありCRやDXには定義されていないタグである。
DICOM規格上はCRやDXでは(0018,1164)Imager Pixel Spacingと(0018,1114)Estimated Radiographic Magnificationの補正値を使って計測値を表示するのが正しい。
(乱暴な言い方だと直接撮影のモダリティはImager Pixel Spacingを使い、再構成をするモダリティはPixel Spacingを使う)
ところがImager Pixel Spacingを使うと計測出来ないビューアが多くある。
特にCTやMRのビューアからCRを表示出来るように作り替えたような製品ではImager Pixel Spacingでは計測出来ない事から、結局CRやDXのモダリティメーカーが(0028,0030)Pixel Spacingを使うようになってしまった。
ただCRやDXが(0028,0030)Pixel Spacingを設定するのは単なるプライベート拡張である。
2006年にCP-586にてDICOM規格が変更となり、それまで(0018,1164)Imager Pixel Spacingのみでキャリブレーションして計測値を出していたことが禁止され、距離値を出す為には(0028,0030)Pixel Spacing、若しくは(0018,1114)Estimated Radiographic Magnificationが必要となった。
更にCP-586の説明に従うと(0028,0030)Pixel Spacingと(0018,1164)Imager Pixel Spacingが同じ値であった場合はUncalibratedと見なされる事になっていて、(0018,1114)Estimated Radiographic Magnification 等による補正が必要になるという事になっている。
まぁ線源から生体中心までの距離がある撮影と再構成画像が同じキャリブレーション値を使う事自体がおかしいので当然と言えば当然かと思う。
ただ現実のCR画像の(0028,0030)Pixel Spacingと(0018,1164)Imager Pixel Spacingには同じ値が挿入されている場合がほとんどである。違反だけど・・・
そうなると過去画像も含めてCR画像のほとんどが計測不可となってしまうため、例えば(0018,1114)Estimated Radiographic Magnificationが無い場合には(0028,0030)Pixel Spacingと(0018,1164)Imager Pixel Spacingが同じであってもCalibratedとして扱うようなローカルルールをビューア側で決めるしか無い。